地方移住を考える
地方移住フェアや移住相談会等、移住者を募るためのイベントがオンライン・オフラインともにたくさん開催されています。実際、移住を決める際のポイントや、移住を検討する人々はどういった条件を挙げる方が多いのでしょうか。
2022年の「地方移住に関する調査」(引用:パーソナル総合研究所、https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/migration-to-rural-areas.html)のデータ(下記2図)を参考に考えてみます。
総合的に暮らしの不便さがあまりなく、自然を感じられつつ都市部へのアクセスが良いことが条件として多く選ばれています。年齢層は、特にIターン型移住(出身とは関連のない地域への移住)においては若年層から増加傾向にあることが分かります。この他にも「転職を必要としない」や「テレワークのできる環境」なども条件として挙げられることが多くあります。
コロナを経験し、場所を問わず出来ることの選択肢が増えた今、一層移住を検討する人口が増えています。
– 子どもとの移住を考える –
移住調査で明らかになることの多くは「移住を検討した結果、何を条件とするか?」という内容になっていますが、これらの調査では分からない「移住を考えるきっかけ」となる理由は、千差万別、さまざまなものがあります。
その一つである「子育て」について。豊かな環境で子育てがしたいと、子どもが就学前の移住を検討する人も多くいますが、「就学後」の移住について目を向けられることや、その支援は少ないように思います。就学後にこそ、子どもの個性が突出して現れたり、世間一般で言う「発達障害」に気がつくということも少なくありません。
子どもに合った場所、受け入れてくれる環境、親が疲弊しないで済む環境やサポート、そういう居場所を求めて「移住」という選択を検討したとき、現状では支援があまりにも少ないように感じます。就学後の子どもとの移住を考えると、学校の体験入学や見学ができる環境があっても良いのではないでしょうか。子育てについては自然環境や教育施設の数を重視したPRが多く見られますが、この場合、就学環境が最も重要な条件となり得ます。子どもが友達と馴染めるのか、受け入れてもらえるのか、そういった検証が叶わず、移住を断念もしくは移住という選択すら浮かばないという家庭も潜在的に多くあるのではないでしょうか。自治体の多くは、移住を担当する課と教育を担当する課は別々に存在していますが、「移住支援」のサポートのひとつとして課を横断した連携が増えていくこと、そして日本全国のどこかに必ず最高の居場所が見つかる、そんな夢のある移住政策になっていくことを期待します。