
近年多くの地方が抱える問題の一つとして農地の保全の問題があります。
農家の高齢化や離農の割合が高く、耕作放棄地が拡大していて、5年後10年後の農地の状況を考えると絶望的な光景が頭に浮かんでしまいます。
この様な事情を抱える地域は全国に拡大しており、それと同時に後継者不足という問題も重なってきています。
今回は農地の保全の問題と後継者不足に関して考えていきたいと思います。
まずは農地保全についてです。
私たちの国の農業を守り、保全を遂行していくに当たって重要なことは、農業の持つ本来の機能のほか、環境に対する公益的機能を高めるなど、環境と調和した持続可能な農業の一層の推進が必要です。そのためには、農業生産活動に伴う環境負荷の一層の低減に加え、地球温暖化、生物多様性、資源の有効利用など新たな課題への対応を通じて、安心・安全且つ付加価値の高い農産物の供給を増加させ、これらの取り組みを消費者や流通関係者にも支持されることが重要です。
ここで群馬県の富岡市を例に農地保全の取り組みを紹介します。
富岡市も小規模で不整形な農地が市のほとんどを占めており、機械化による大規模化が難しい現状でした。そして担い手不足の問題から耕作放棄地の発生が懸念されたため集落の活性化を図ることにしました。
まず初めに、集落では農業者と非農業者が共同で農道・水路・ため池周辺の草刈りや整備を実施しました。このため池(ビオトープ)では魚類・昆虫類を保護するために減農薬を使用することで、ため池生物の生息環境の維持に取り組んでいます。
また高付加価値型農業の実践として、高付加価値米(天日干米)を生産し販売することで活性化を図っています。
地域で農地を守り、耕作放棄地が発生しないための持続可能な農業が、環境負荷への取り組みや経営にも繋がっていると感じますね。
しかし、この取り組みも維持できなければ意味がありません。
せっかく一丸となり、持続可能な農業へ向けて取り組みを行っている地域が増える中、いかんせんどの地域も後継者不足に見舞われているのです。
ここで次の問題、後継者不足です。
ではどうしたら若者の地域へUターンを増やし、後継者不足の問題を減らしていけるのでしょうか。
①担い手への手厚い支援
②青年層へ新規就農の魅力を伝えること
の2点が重要と考えます。
①担い手への手厚い支援
農業の機械などの経営資源を有効利用して、価格変動や自然災害による経営リスクの分散を図るため、経営の多角化や複合化を推進していくことや
労働力不足の状況に対応し、農業法人において、幅広い年齢層や他産業からの人材などの活用を図り、他産業並の就業環境の整備を推進すること。
②青年層へ新規就農の魅力を伝える
就農への準備金や経営不安定の時期に関しての補助金制度を行ったり農業機器などの貸し付けを実施します。
そして後継者の育成を行っていくために就農希望者等に対する全国的な求人情報等の提供や就農相談、就農前の短期間就業体験(インターンシップ)の機会を与えることが必要です。
この様に、円滑な経営が行えることや実際に農業に触れる機会が作ることが大切だと考えました。
農業は私たちの国にとって欠かすことのできない産業です。
将来につながる持続可能な取り組みを行うと共に、農業界をけん引していくリーダーを育てる環境を提供していく必要がこの大切な産業を守ることに繋がっていくでしょう。